生みの親は「立春朝搾り」!
「開華 大晦日しぼり」誕生の元となっているのは、日本名門酒会と弊社で1998年に始まった「開華 立春朝搾り」です。
立春朝搾りは、立春(概ね2月4日)早朝に搾りあがったしぼりたてのお酒を、その日のうちにお客様に楽しんでいただこうという企画から始まりました。
既に仕込み計画も決まっている1997年の酒造りの中、日本名門酒会と弊社で企画は進みました。仕込み計画の中の1998年2月4日には、純米酒を搾る予定がありました。仕込みは、予定を立てればそのまま実施可能ですが、搾りあがりはあくまで予定でしかありません。酒は生き物ですので、早まることもあれば遅くなることもあります。しかし、予定する醪(もろみ)の前後にもなんらかの純米酒を搾る予定が入っており、万が一の時でも必ず純米酒を搾れるということからこの企画が開始されました。
しかし、ここでもう一つ問題がありました。店頭販売開始時間です。
立春当日に愛飲家の皆様にお届けするため、遠方から酒販店さんが当蔵までお越しになり、商品を持ち帰ってお店に並べるのですが、開店時間の午前10時、遅くとも正午までには店頭で販売を開始したい。そのためには、午前9時くらいまでには出荷を完了させたい。しかし、当時弊社の営業開始時間は午前8時過ぎからでしたので、とても間に合いません。最初は少し早めて7時からと提案しましたが、販売希望本数を瓶詰め完了するには間に合いません。最終的には、その頃の常識を覆す早朝4時からの瓶詰め開始、9時までの出荷完了を計画しました。
そして迎えた2月4日当日(実際には前々日あたりから決まったことですが)は、元々予定していた醪(精米歩合59%の特別純米酒)ではなく、予定外の醪(同53%の純米吟醸酒)を搾ることになりました。今更、販売価格を変えるわけにはいきません。弊社が予定していた製造原価よりも高いお酒となってしまいましたが、飲んだ方々には大好評。当日搾ったばかりということもあり、大きな反響を呼びました。翌年からの商品もこのお酒がベースとなったことから、製造原価としては高い商品となりました。しかし、この年の大好評の結果、翌年には2蔵増えて3蔵へ。翌々年には5蔵へ増え、現在約40蔵。日本酒が最も売れる日とも言われる大きな商品へと成長しました。
ヤマト運輸の年末年始営業開始が鍵!
ご年配の方でも既に忘れている方が多いですが、1995年末までの宅配便は年末年始の集荷・配送を休んでいました。「年内に届くのは〇日までに発送。年始に発送できるのは〇日から」という会話を記憶されている方もいると思います。それを打破したのが、宅配便の元祖でもあるヤマト運輸の宅急便です。1996年末から「年末年始も集荷・配達を通常通り行う」ことが開始されました。この頃、同社ではテレビコマーシャルで「年末年始も営業」を宣伝していました。このことと弊社の商品が結びつくことになるとは思いませんでしたが、後々「大晦日しぼり」に結びつきました。
ミレニアムの酒
ミレニアムとは、1000年、または千年紀を意味します。1999年には、この言葉が広く使われ、ミレニアムベビーやミレニアム結婚といった流行語も生まれました。新世紀は100年に1度ですが、ミレニアムは1000年に1度ですので、二度と経験することはできません。1999年末は2000年を意識した多くの商品が発売となりました。弊社でもラベルに2000年と書いた商品を販売し好評でした。一方で、ただラベルを変えただけでは面白くない。何かできないのかと考えました。そこで浮かんだのが「立春朝搾り」のように当日搾りたての酒。2000年1月1日に搾ったお酒を当日楽しんでいただくことを考えたのですが、元日に流通、愛飲家の方も蔵までお酒を取りに来るというのは、現実的ではありません。そこで思いだしたのが宅急便のテレビ宣伝です。年末年始も営業しているなら「1999年最後の日に搾ったお酒を2000年最初の日に飲んでもらう」という酒ができる。そこから、搾って瓶詰めした全本数を大晦日にヤマト運輸に託して、元日に宅配してもらうという大晦日しぼりが生まれました。
他の酒蔵の動きと相乗効果
10月下旬にこの商品を発表したところ、11月になって同様の企画が他の酒蔵から発表されました。正直なところ、最初は真似されたと少し不満に思ったのですが、結果としてはこのことが弊社の商品にとって大きな追い風となりました。
ミレニアムを記念した商品はたくさんあったのですが、単に名前を付けただけという商品が多いなか、1999年末出荷2000年元日お届けという大晦日しぼりは、他商品とは一線を画しました。さらに、単独の酒蔵だけでなく、複数の酒蔵が取り組むこともあり、多くの新聞で取り上げられ、これらにより、非常に大きな反響がありました。当初500セットくらい売れれば良いと思っていたのですが、予想を大きく超える1千セット超の販売となりました。ラベルも発表当初は弊社のプリンターで作成予定だったのですが、多くの注文に対応、瓶詰め効率を考えると専門業者さんに依頼することが必要となり、12月中旬業者さんにラベルを発注、何とか間に合わせていただきました。ところが12月下旬に注文を取りまとめてみると、注文本数にラベルが足りません。印刷業者さんが仕事納めになるギリギリの頃になり、何とか追加印刷をお願いして間に合わせていただきました。
複写伝票からパソコンへ
発売当初、宅急便伝票は複写式でした。この伝票は、ヤマト運輸が伝票バーコードを読み、行先別コードのシールを貼ります。この作業を12月31日当日行うのは大変なので、前日の30日に山となった伝票をヤマト運輸が読み込み作業します。
発売翌年(2000年末)は大変でした。ヤマト運輸が作業を終了すると、弊社が受注した数量と1件合致しません。なんども伝票を数えるのですが、数えるたびに数量が異なり、そんなこんなで31日午前零時を迎えてしまいました。このままでは誰かに商品が届かない。結果的にはちゃんと届きましたが、今回で発売終了になるかと思わざるをえない瞬間でした。
翌年からはヤマト運輸への依頼は複写伝票ではなく、パソコン入力のデータへ。伝票印刷も一部ヤマト運輸にお願い(現在は全量弊社で対応)し、増加した発送も無事行われています。
お歳暮よりインパクトのある年始の贈答品!
当初は自分で飲むために買う方が多かった大晦日しぼりですが、気がつくと年々販売数が増えています。これは新規の購入者がいるだけでなく、申し込んだ方が複数の方に贈っていただくようになり、年始の贈答品として最適な商品になっていったのです。
12月にはお歳暮で多くの贈答品が動きますが、年末の忙しい時期に商品が届くため、送られる相手方は必ずしも在宅していません。一方、正月は在宅している可能性が高く、元日から商品が届くこと自体にもインパクトがあります。開けてみると、昨日搾ったばかりの日本で一番新鮮なお酒。そして、華やかな香りと柔らかで上品な旨味の日本酒。お正月と日本酒は最も相性が良いと言っても過言ではありません。送られた方には大変喜んでいただいています。お正月だからこそ、新年の挨拶を兼ねて直ぐにお礼の電話をする方も多く、贈った方にも大変喜んでいただいています。最近は、お歳暮を止めて、この商品で季節のご挨拶をされている方もいらっしゃるようです。
「大晦日しぼり」今後ともご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
